アレルゲン検査を依頼する際、検査方法によって精度・納期・費用・対応品目が大きく異なります。食品Naviでは、主要な4つの検査方法について、それぞれの特徴と使い分けのポイントをわかりやすく解説します。
イムノクロマト法とは

イムノクロマト法は、アレルゲン検査の中でも短時間・低コストで結果が得られる簡易検査方法です。検査キットに検体を滴下すると、抗原抗体反応によってラインが浮かび上がり、目視で陽性・陰性を判定できます。
特徴は判定までのスピードです。数分から数十分程度で結果が出るため、まず特定原材料が含まれていないかをスクリーニングしたい場面や、現場で簡易的に確認したい場面に向いています。
一方で、イムノクロマト法は定性検査(有無の判定)にとどまり、検出感度や精度はELISA法など他の検査方法に比べて劣る場合があります。厳密な数値管理や公的な表示根拠としては、イムノクロマト法での簡易検査の後、ELISA法やPCR法による確認検査を組み合わせる進め方が一般的です。
ELISA法とは

ELISA法(酵素結合免疫吸着測定法)は、抗原抗体反応を利用してアレルゲンタンパク質を検出する検査方法です。発色や吸光度の変化を測定することで、対象物質の有無だけでなく、おおよその量も把握できるのが特徴です。
ELISA法には「キット1種使用」と「キット2種使用」の2パターンがあります。1種使用はスクリーニング検査に位置付けられ、まず陽性・陰性の傾向をつかみたい場合に使われます。2種使用は、異なるメーカーのキットで交差的に確認する確認検査として扱われ、より確度の高い判定が必要な場面で選ばれます。
ELISA法は国が定める通知法(アレルゲンを含む食品の検査方法)にも採用されている実績のある方法で、食品表示の根拠として利用されるケースが多い検査方法です。
PCR法とは
PCR法は、アレルゲン由来のDNAを検出する検査方法です。ELISA法がタンパク質を検出するのに対し、PCR法は遺伝子情報を対象とするため、加熱・加工が進んだ食品でもアレルゲン由来のDNAが残っていれば検出しやすいという特徴があります。
微量のDNAでも増幅して検出できる高感度な方法のため、ELISA法での結果をさらに詳しく確認したい場合の確認検査として用いられることが一般的です。小麦・そば・落花生・えび・かになど、幅広い品目に対応している検査機関が多くあります。
一方で、拭き取り検査や、洗浄水・高温高圧処理を経た検体では、実際にアレルゲンが残っていてもDNAが分解され検知できない場合がある点には注意が必要です。検査を依頼する際は、対象となる食品の加工状態も踏まえて検査機関に相談することをおすすめします。
ウエスタンブロット法とは

ウエスタンブロット法は、検体中のタンパク質を電気泳動によって分離し、特異的な抗体を使って対象のアレルゲンタンパク質を検出する検査方法です。感度・特異性がともに高く、確認検査として位置付けられています。
特に卵・乳の検査で採用されることが多く、他の検査方法と組み合わせて、より確度の高い判定を行いたい場合に選ばれています。
検査には専門的な設備と技術が必要なため、対応できる検査機関は限られる傾向があります。また、他の検査方法(ELISA法・PCR法)と比べて納期がやや長めに設定されているケースが多く、依頼の際はスケジュールに余裕を持って検討することをおすすめします。
まとめ
検査方法によって、精度・納期・費用・対応品目が異なります。まず簡易的に確認したいのか、公的な表示根拠として確度の高い結果が必要なのかによって、適した検査方法は変わります。食品Naviでは各検査方法に対応する検査機関を掲載していますので、目的に合わせて比較・検討ください。
食品を製造・販売する際、アレルギー表示は消費者の健康と安全に直結する重要な項目です。今回は、食品表示法で定められているアレルギー表示対象29品目について、わかりやすく解説します。
アレルギー表示対象とは
アレルギー表示対象とは、アレルギー症状を引き起こす頻度が高く、かつ症状が重篤になりやすい食品として、食品表示法で表示が定められている原材料のことです。大きく「義務表示」と「推奨表示」の2種類に分かれています。
義務表示の9品目
以下の9品目は、含まれている場合に必ず表示しなければなりません。
- えび
- かに
- くるみ
- 小麦
- そば
- 卵
- 乳
- 落花生(ピーナッツ)
- カシューナッツ
推奨表示の20品目
以下の20品目は、表示が義務ではなく「推奨」ですが、多くの食品メーカーが自主的に表示しています。
アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、ピスタチオ、キウイフルーツ、牛肉、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、もも、やまいも、りんご、ゼラチン、マカダミアナッツ
なぜ表示義務があるのか
これらの原材料は、重篤なアレルギー反応(アナフィラキシーなど)を引き起こす可能性が高いことが、厚生労働省の調査等で明らかになっています。特に義務表示の9品目は、症例数・重篤度の両面から特に注意が必要とされています。
表示義務を怠った場合
義務表示品目の表示漏れは、食品表示法違反にあたり、行政指導や罰則の対象となる可能性があります。消費者の生命に関わる問題でもあるため、原材料の確認・検査体制の整備が欠かせません。
アレルゲン検査機関の活用
自社での目視確認だけでは、意図しない混入(コンタミネーション)を見逃してしまうリスクがあります。定期的なアレルゲン検査を実施することで、表示の正確性を担保し、消費者への安全な情報提供につなげることができます。
食品Naviでは、アレルゲン検査に対応した検査機関を目的別に比較できます。アレルゲン検査を依頼できる機関の例として、日本食品分析センター、イカリ消毒、ハウス食品分析テクノサービス、食環境衛生研究所、つくば分析センターなどがあります。各社の検査方法・納期・費用の違いは、アレルゲン検査機関一覧の比較表でも確認できます。